皆様こんにちは。
現役フレンチシェフが運営するレシピサイト、フランス料理ロドゥラへようこそ。
本日はフランス料理のソースを種類ごとに分けて紹介します。
フランス料理の命ともいえるソースですが、
『種類が多すぎてよくわからねえ…』
『気取った名前で意味わからんぞ(半ギレ)』
といった声が多いのも事実なので、今回はレストランのメニューなどでもよく見かける代表的なものを中心に紹介していけたらと思います。
また、それぞれの詳しいレシピはリンクを貼ってあるのでそちらからご覧ください。
では早速始めていきましょう。
目次
アルコールをベースにしたソース
ソースブールブラン
ソースブールブランは直訳すると、
『白いバターのソース』
という意味で、白ワインと白ワインビネガーをベースにしてたっぷりのバターを溶かし込んだ非常にポピュラーなソースですね。
主にお魚料理に使われ、バターのコクにワインの酸味が効いた非常にバランスが良く万人に愛される味わいです。
ソースヴァンブラン
さきほどのソースブールブランとよく似た名前ですが、こちらは直訳すると
『白ワインのソース』
という意味で、しっかり煮詰めた白ワインに生クリームを合わせたソースです。
こちらもソースブールブランと同様にお魚料理に使うのが一般的ですが、ソースブールブランよりも油脂量が少ないのでさっぱりと食べられます。
淡白なお魚はソースブールブラン、しっかり脂ののったお魚にはこちらのソースヴァンブランを合わせるとバランスが良くなりますね。
ちなみに白ワインではなく『ノイリープラ』というヴェルモットを使うと、
『ソースノイリー』
というソースになります。
ソースヴァンルージュ
ルージュは『赤い』という意味なのでこちらはそのまんまで、
『赤ワインのソース』
です。
しっかり煮詰めた赤ワインにフォンドヴォーなどを加えて作るのが一般的です。
牛肉や鴨肉などのお肉料理に合わせる代表的なソースですね。
ソースペリグー
ソースペリグーは、マディラ酒をベースにフランス・ペリゴール地方の名産品である黒トリュフをたっぷり加えた贅沢なソースです。
ソースペリグーを使った代表的な料理に、
『牛フィレ肉のロッシーニ風』
というものがありますが、これは牛フィレ肉のステーキにソテーしたフォアグラと、このソースペリグーを合わせた料理のことを指します。
とてもお金がかかるソースなので、お家で気軽に作るのは難しいのですが『これぞフランス料理!』と思わせてくれるような完成度の高いソースです。
ソースポワヴラード
ソースポワヴラードはジビエに合わせる代表的なソースのひとつで、赤ワイン、コニャック、フォンドヴォー、フォンドジビエなどをベースに黒胡椒をしっかり効かせたパンチのある味わいのソースです。
基本的には味と香りの強い赤身のジビエ肉に合わせるので、それに負けない力強い味わいに仕上げます。
またこのソースポワヴラードにグロゼイユ(赤すぐり)を加えたソースをソースグランヴヌールといい、当ブログではグロゼイユではなくフランボワーズでアレンジしたものを紹介しています。
クラシックなソース
ソースベシャメル
小麦粉とバターで作った白いルウを牛乳でのばしたソースです。
ソースベシャメルよりも『ホワイトソース』と言った方が馴染みがあるかもしれませんね。
グラタンに使ったりブイヨンでのばしてヴルーテというソースに仕立てたりと、様々な形に派生させることができます。
ソースエスパニョール
ソースエスパニョールはフォンドヴォーをベースにブラウンルウやトマトを加えて作る、しっかりと旨みがあるソースです。
『ソース』と名前についていますがそのまま使うというよりもソースベースや煮込みのベースに使われるのが一般的です。
誰もが知っているあの『ソースドゥミグラス』も、このソースエスパニョールをベースにして作られます。
ソースドゥミグラス
ソースドゥミグラスは、
ドゥミ(demi=半分)
グラス(glace=煮詰めた)
という名の通り、ソースエスパニョールをベースにマディラ酒や赤ワインなどを加えてしっかり煮詰めた、非常に濃厚なソースです。
今は洋食屋さんでしか見かけなくなりましたが、誰にでも愛されるフランス料理界最高のソースといっても過言ではないでしょう。
ソースリヨネーズ
ソースリヨネーズはソースドゥミグラスをベースに、白ワインやローストオニオンを加えた甘酸っぱくて馴染みやすい味のソースです。
ただ近年ではより軽いソースに仕立てるため、ソースドゥミグラスではなくフォンドヴォーが使われることの方が多いですね。
そのまま豚肉や牛肉に合わせてももちろん美味しいのですが、このソースリヨネーズをフライドポテトに絡めたリヨネーズポテトもまた絶品です。
ソースシャスール
ソースシャスールはソースドゥミグラスをベースにマッシュルームやエシャロット、白ワイン(トマトを加えることもある)などを加えたソースです。
鶏肉やホロホロ鳥、仔牛など白身のお肉に非常によく合うソースですね。
こちらもソースリヨネーズと同様に、近年ではソースドゥミグラスではなくフォンドヴォーなどをベースにして軽めに仕上げることの方が多いですね。
作りやすく汎用性も高いので、覚えておくと何かと役に立つソースだと思います。
ソースショロン
卵黄、バター、エシャロット、エストラゴンなどで作ったソースベアルネーズにトマトを加えたソースです。
このソースはポールボキューズ氏のスペシャリテである『スズキのパイ包み焼き』のソースとして有名ですね。
ソースベアルネーズのコクにトマトの酸味が加わり、バランスの良い味わいです。
ちなみに卵黄にブイヨンなどの水分を加えて泡立てながら作ったシンプルなソースは、『ソースサバイヨン』といいます。
素材の味を活かすグラタン仕立ての料理などはこちらのソースの方が向いています。
ソースブールノワゼット
ブールは『バター』、ノワゼットは『ハシバミ(ヘーゼルナッツのこと)色』という意味で、ソースブールノワゼットは『ハシバミ色に焦がしたバターのソース』という意味になります。
一般的には焦がしバターにレモンやケイパー、パセリなどを加えて作り、お魚料理や白身のお肉と合わせて使われることが多いですね。
当ブログでは焦がしバターを乳化させて食べやすくアレンジしたソースブールノワゼットをご紹介しています。
フルーツを使ったソース
イチジクのソース
フルーツを使ったソースは多くありますが、その中でもやはり美味しいのはイチジクのソースです。
作り方は様々ですが、赤ワインやガストリックというキャラメルとビネガーを合わせたソースと組み合わせて作るのが一般的です。
鴨や鳩など、赤身の鳥獣類と合わせると美味しいですね。
ソースグランヴヌール
ソースグランヴヌールは、ソースポワヴラードにグロゼイユ(赤すぐり)を加えたソースです。
グロゼイユの程よい酸味がジビエの血の香りに良く合います。
当ブログでは手に入りづらいグロゼイユではなく、フランボワーズのピュレを使用したアレンジverを紹介しています。
ソースビガラード
ビガラードは苦みのあるオレンジの事で、このソースビガラードはキャラメルとオレンジ、ビネガーを合わせて作るソースです。
一般的には鴨のソースとしてよく使われますね。
オレンジの甘酸っぱさが鴨と非常によく合います。
フォンやコンソメ
フォンとかコンソメってなんぞや?
という方は別記事にて詳しく解説していますのでまずはそちらからご覧ください。↓
フォン・ド・ヴォー
フランス料理の代表的な出汁といえばこれ、『フォンドヴォー』です。
香ばしくローストした仔牛の骨や香味野菜からじっくりと抽出した出汁で、様々なソースや煮込みなどのベースとなります。
フォン・ド・ヴォライユ
香ばしくローストした鶏ガラや鶏肉と香味野菜を煮出した、フォンドヴォーの鶏バージョンです。
『ヴォライユ』というのは家禽という意味なので、鶏だけでなく鴨や鳩、ほろほろ鳥を使用したりもします。
ちなみに焼き色を付けずに作る白い出汁は『フォン・ブラン・ド・ヴォライユ』といい、用途によって使い分けます。
コンソメ・ド・ヴォライユ
コンソメ・ド・ヴォライユはフォン・ド・ヴォライユをベースに、ミンチ、卵白などを加えてクラリフィエ(清澄)した透き通ったスープの事です。
『コンソメ』は『完璧な』という意味で、透き通った透明度の高いスープをこう呼びます。
フォン・ド・オマール
オマール海老の殻や頭から抽出した出汁です。
そのまま煮詰めて生クリームと合わせたり、トマトを加えたソースに派生させたりします。
他の甲殻類(蟹や海老)を使っても同様に作ることができ、その場合は『フュメ・ド・クリュスタッセ』という名前になります。
コンソメ・ド・オマール
フォン・ド・オマールに卵白や香味野菜を加えて火にかけて澄ませたスープの事を指します。
オマール海老のクリアな香りが楽しむため、そのままスープとして提供したりジュレに仕立てたりして使われることが多いですね。
ちなみにフォン・ド・オマールではなく、フュメ・ド・クリュスタッセを使った場合は、『コンソメ・ド・クリュスタッセ』になります。
ヴィネグレット系のソース
ソースヴィネグレット
ビネガーにオイル、塩を混ぜた、いわゆる『ドレッシング』の事です。
ビネガーやオイルの種類を変えたり玉葱やリンゴ、蜂蜜などを加えたりとアレンジの幅は無限大です。
ヴィネグレット・フランセーズ
いわゆる『フレンチドレッシング』ですね。
すりおろした玉葱とソースマヨネーズでマイルドな味わいに仕立てた万人受けする味のヴィネグレットです。
こちらも基本のヴィネグレットと同様にアレンジの幅が大きく、様々なレシピが存在します。
ソースマヨネーズ
わざわざ説明するまでもないほど有名なソースですね。
卵黄にマスタード、ビネガー、オイルを加えてしっかり乳化させたみんなが大好きなマヨネーズ様です。
こちらも様々なソースのベースとなるので、フランス料理には決して欠かすことができません。
ソースグリビッシュ
ソースマヨネーズをベースに卵、ピクルス、ケイパー、エストラゴンなどなどを加えたいわゆるタルタルソース的なソースです。
非常に馴染みやすい味で、魚介からお肉まで幅広く使用することができます。
その他のソース
ソーストマト
名前のままですがトマトと香味野菜をしっかり煮込んだソースです。
イタリアンではシンプルにトマト缶を煮詰めたソースをベースに派生させるのが一般的ですが、フランス料理ではベーコンなどで旨みを足してしっかりと味を決めて使います。
お魚料理や揚げ物に良く合うソースですね。
おわりに
挙げていくとキリが無いのでとりあえず代表的なものだけを書いていきましたがいかがだったでしょうか。
もし他に『これってどういうソース?』とかありましたらコメント欄かTwitterの方で聞いていただけたらお答えしますので気軽に聞いてください。
また新たにソースを記事にした場合ここに追記していきますのでリクエストやらなんやらありましたら、できるだけ応えられるよう努力します。
ソース作りに関する用語解説の記事も良かったら合わせてどうぞ。↓
ソースに関するおすすめの本も以下に紹介しております。
興味がある方はぜひ読んでみてください。↓
それでは本日もお読みいただきありがとうございました。
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