【後編】プロの為のフォン・ド・ヴォライユ講座



皆様こんにちは、こんばんは。
『シャインマスカット』と入力したつもりが『社員マスカット』となっていた時の脱力感は異常ですよね。

さて今回は前回に引き続き、
『プロの為のフォン・ド・ヴォライユ講座』
をやっていきます。

今回の後編では主に調理工程について解説していきますので、細かい注意点や理論は前編の方をご覧ください。

【前編】プロの為のフォン・ド・ヴォライユ講座

26/08/2017

では早速始めていきましょう。

フォン・ド・ヴォライユのレシピ

  • 1kg   鶏ガラ、鶏肉
  • 300g  玉葱
  • 150g  人参
  • 150g  セロリ
  • 1/2個  にんにく
  • 適量    ブーケガルニ、粒黒胡椒

※今回は鶏ガラの他にもも肉や手羽なども使用。
ガラだけでなく肉も使用した方がより旨味が出る。

フォン・ド・ヴォライユの仕込みの工程

①鶏ガラについている内臓や血などは綺麗に取り除き洗っておく。
その他の部位(手羽や首ツルなど)は余分な皮や脂を取り除くだけでOK。

②掃除し終えた鶏ガラを鉄板に並べて全体にサラダ油を回しかけて120℃のオーブンでローストする。
大きさにもよるが3~4時間程を目安に様子を見ながら加熱する。

③上記画像ぐらい焼き色がしっかり付いたら次はガラや肉の水分を確認する。
まだ完全に水分が抜けきっていなければ80℃ぐらいの低温のオーブンに入れてしっかり乾かしておく。

④次に香味野菜をローストする。
これはガラをローストするのと同時進行で行っても良い。

大体3~4cm角ぐらいの大きさにそれぞれの香味野菜をカットする。
最後に焼き色を調節するので大きさは大体で構わない。
ニンニクは皮を剥かずにそのままでOK。

⑤サラダ油を回しかけて120℃のオーブンで2時間ほど水分を抜きながらローストする。
ある程度水分が抜けてきて香味野菜の端が色づいてきたら取り出す。

⑥このまま温度調節をして最後までオーブンで焼いても良いが焼き色のムラを無くすために最後はフライパンで焼く。
テフロンパンに香味野菜を移し、弱火で時々混ぜながらじっくり色づける。

⑦程よく色づいたものから引き上げていく。
セロリや玉葱の端っこの方が焦げやすいので注意する。

⑧寸胴鍋にお湯を沸かす。
量は適当で良いが今回のレシピでの目安は4リットルほど。
お湯が沸いたら鶏ガラをオーブンでさっと温めてから鍋に加える。

⑨はじめに少しだけ灰汁が浮いてくるのでそれだけ取り除いて、あとは火加減を軽く沸いているぐらいに調節して煮出す。
このガラを入れた段階でフォンがすでに白っぽくなっていたらガラのロースト不足なので、もっとしっかり水分を抜く必要がある。

⑩ガラだけの状態で1~1時間半ぐらい煮出したらローストした香味野菜、ブーケガルニ、粒黒胡椒を加える。
この時点で灰汁ははじめの一回以外取っていないがしっかりクリアな状態になっている。

⑪香味野菜を加えてからもあとはひたすら放置して煮出すだけ。
灰汁は出ないので特にいじくり回す必要もない。

⑫約4時間煮出した状態。↓
しっかり旨味が出ていて、なおかつ鶏臭さや濁りの無い綺麗な状態になっているのを確認してシノワで濾す。
この煮出し時間はあくまでも目安なのでガラや肉のサイズなどによって時間を増減させても良い。

⑬この時点での仕上がりの目安は大体1.5~2リットルぐらい。
濾したものをそのまま使う場合は急冷して冷蔵庫で保存し、表面に浮いた脂を取り除いてから使用する。
冷蔵保存の場合は3日以内、冷凍の場合は真空状態で約2か月を目安に使い切る。

⑭ソース用にする場合はトマトペースト(6倍濃縮)を15~20gぐらい加えてから濃度が出るまで煮詰める。

⑮今回のレシピでは大体300~400gまで煮詰めると使いやすいと思う。
しっかり煮詰めたら急冷して保存する。

⑯完成。
この状態で冷蔵庫で約1週間、真空冷凍で約3か月ほど保存可能。

終わりに

前編からクッソ長々と話してしまいましたが、このやり方をしっかりなぞるとクリアで美味しいフォン・ド・ヴォライユが作れると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
また牛や羊など、他の種類のフォンでも基本的な考え方は同じです。
フォン・ド・ヴォーに関しては別で記事にしてあるのでそちらも合わせてご覧ください。↓

プロの為のフォンドヴォー講座

06/05/2020

今回作ったフォン・ド・ヴォライユは非常に上品な味わいで、煮詰めたものはそれだけでも充分美味しいソースになります。
塩コショウとバターで繋ぐだけでもいいですし、例えば牛肉のソースに仕立てる時などは、わざわざフォンドヴォーを仕込まなくても、フォン・ド・ヴォライユにグレス・ド・ブフ(※フォン・ド・ヴォーの記事参照)と少量の焦がしバターを加えるだけでしっかりとした牛の風味のソースが出来るのでぜひ試してみてください。

この記事がプロの方の参考に少しでもなれば幸いです。

それでは本日もお読みいただきありがとうございました。
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