プロ向け『フォン・ド・ヴォライユ』前編



皆様こんにちは。ボンジュール。
今日はプロの料理人向けの記事になります。
そこまでガチじゃねーよという方は
そっとブラウザバックを押してください。

フォン・ド・ヴォライユは鶏の出汁のことなのですが、
料理人によって様々な引き方があります。

私自身、幾つかのお店のレシピを見てきたのですが、
教科書そのままのことをなんとなくやっているだけの
薄っぺらい味のフォン・ド・ヴォライユを引いているお店は少なくありません。

フォン・ド・ヴォライユ、フォン・ド・ヴォーなどの
基本の出汁が美味しくない店は、もちろんソースも大した味になりません。

出汁を引く上で大事な事は、料理が美味しくなるロジックを理解することです。

もちろん出汁に限らずピュレやラグーなどのあらゆるパーツを仕込む時も同様です。

これを理解せずに経験が全てだというスポ根料理人も中にはいますが、
料理は科学で成り立っているものなので、これを理解するのが一番の近道だと私は思っています。

さて、脳筋料理人の悪口はこの辺にしておいて早速本題に入ります。

フォン・ド・ヴォライユのレシピ

  • 2kg     鶏ガラ
  • 2個      玉葱
  • 2/3本    人参
  • 1本      セロリ
  • 丸1個     にんにく
  • 適量      タイム、ローリエ、セロリの葉、トマトペースト、粒黒胡椒

注)レシピは毎回割と適当なのでいい感じに調節してください。


作り方の流れは後編にて画像付きでご紹介します。→ココ(´・ω・`)

今回は出汁を引く上で必ず理解しておいてもらいたい事柄を羅列していきます。

これらを理解した上で作り方を見て、実践に移していただけたらと思います。

鶏ガラの掃除をする理由

今回は骨と野菜を焼いて、褐色の出汁を作っていきます。
その際、褐色出汁は鶏ガラの掃除をしないという人も中にはいるのですが
私はしっかりと掃除することを勧めています。

その理由は、鶏ガラを焼く際に内蔵などが付きっぱなしだと先にその内蔵部分が焦げてきます。
特に今回のレシピは長時間オーブンで加熱しますので尚更です。
焦げた内臓は出汁にとって邪魔なものでしかありません。
仮に焦げなくとも灰汁、臭みの原因になりますので必ず全て綺麗に掃除しておいてください。

鶏ガラをどれぐらい焼くか

ここが今回一番のポイントです。
これをいい加減にしている料理人が多すぎます。
適当に焼いた鶏ガラではその後どんなに丁寧に手をかけたところで美味しくはなりません。

まずなぜ鶏ガラを焼くのか?という理由なのですが、
タンパク質は加熱を続けるとメイラード反応という現象が起き、香ばしい香りと旨味が出ます。
褐色の出汁はこのメイラードを溶かし込むのが目的で骨や野菜を焼きます。

つまり
『いかに綺麗に全体にしっかりとした焼き色を付けるか』
これが今回のポイントです。

綺麗に焼き色を付けるときに邪魔なもの、それは水分です。

メイラードは水溶性なので、水分を多く含む物質には定着しません。
水分と一緒に外に流れてしまいます。

一般的な料理書では180℃ぐらいのオーブンで鶏ガラを焼く、と書かれていることが多いですが、
この温度では鶏ガラの水分が抜け切る前に表面が焦げてしまい、あまり焼き色が付きません。

表面だけ適当に焼き色を付けた鶏ガラで出汁を引いてしまうと、微妙に鶏臭い中途半端な味の出汁になります。

『出汁を引いてるけどなんかあまり美味しくない』と悩んでる料理人の方、こんな焼き方をしていませんか?

私が鶏ガラを焼くときは、まずは130℃ぐらいのオーブンに入れて加熱していきます。
メイラード反応は140℃前後から活発になるので、それに近い温度で火を入れつつ鶏ガラの水分を飛ばしていきます。

130℃で3~4時間程火を入れるとほぼ水分がなくなって、全体に綺麗に茶色くなります。

水分が無くなったら、メイラードがしっかりと定着して流れなくなるので、
ここから温度を上げてしっかり香ばしく焼いていきます。

大体150℃で1時間~1時間半程でしょうか。
鶏ガラのサイズ等によって時間は変わるのでこまめに見ながら判断します。

こうして焼いた鶏ガラは全体にしっかりとうまみ成分と香ばしさを抱えた出汁に最適な状態となります。


香味野菜の焼き方

香味野菜を焼くときの考え方も基本的には鶏ガラと同じです。

まずはメイラードが定着しやすいようにオーブンで水分を抜きます。
鶏ガラを130℃で焼いているときに一緒に加熱して、
大体でいいのですが6~7割ぐらい水分を抜いておきます。

香味野菜はオーブンだと端の方が焦げやすいので完全に水分を抜かずに取り出して、
あとは多めに油を入れたフライパンで焼き色を付けていきます。

多めに油を使うことによって、均一に熱が伝わるので全体的に綺麗に焼き色を付けやすくなります。

中火から弱火で加熱して、全体的に香ばしく色づいたものから取り出していきます。
決して焦がさない様に丁寧に焼きましょう。

抽出の過程で注意するべきこと

さて、鶏ガラと香味野菜の準備が済んだら後はひたすら煮出すだけです。

寸胴鍋に素材全部が浸るぐらいのお湯を沸かしておきます。
褐色出汁は必ず沸騰したお湯に素材を入れてください。
その理由は、冷たい水から素材を入れてしまうと灰汁が水分の中に溶け込んでしまい、取り出せなくなるからです。

しっかり綺麗に焼いた鶏ガラはほぼ灰汁は出ないのですが、
冷水とお湯で引いたものを比べてみると微かに冷水から引いたものの方が臭みがあります。

沸騰したお湯に鶏ガラを入れると灰汁は水に溶けだす前に凝固して浮いてきます。
なので初めに一回灰汁を引いたらその後はほとんど灰汁を引く必要はありません。

お湯から煮出すもう一つの理由はメイラードです。
先程述べた通り、メイラードは水溶性の物質なので、水に入れるとどんどん溶けだしていきます。

つまり、水から煮出すと沸騰するまでにもメイラードが溶け出しています。
その状態で灰汁をちまちま引いているとメイラードが溶け出した旨味のある液体も少しずつ捨てていることになります。

沸騰状態からだと、メイラードがほとんど溶け出していない状態で1回灰汁を引くだけで済むので、無駄がありません。

上記の理由から、沸騰状態を保つために鶏ガラも熱い状態でお湯に入れてください。
先に鶏ガラを焼き終わっていても、抽出前にもう一度オーブンに入れて熱々にしてから入れると沸騰状態を保てます。


野菜を入れるタイミング

次は出汁を煮出す時間についてです。
素材の旨味が全部出終わるまで煮出すのですが、旨味が出終わったかの確認は鶏ガラを齧ってみたり、
骨が崩れ出したらなど、判断する方法は幾つかありますが、
私は自分が必要だと思うラインまで旨味の濃さが来たら止めるので、出汁の味で判断します。

時間にして約4時間。野菜は1時間半ほどで旨味が十分出るので、
煮出し始めてから約2時間半後に入れます。

早く入れすぎると煮崩れてしまって出汁が濁る原因になります。
特に濁っても問題ない場合は初めから入れておいても大丈夫です。

煮出すときの火加減

次に火加減なのですが、私はこれをさほど重要視していません。

その理由は先程述べた通り、この作り方だと灰汁がほとんど出ないからです。

料理書では軽く沸騰している状態(ミジョテ)が基本だと書かれていますが、
その理由は小さな対流を起こして灰汁を浮かび上がらせるためです。
温度が低いと灰汁が出汁の中に溶けてしまいます。
沸かしすぎて激しい対流が起きてしまうと
灰汁が引けないだけでなく油脂分と水分が乳化してしまい、白っぽく濁ってしまいます。

今回は灰汁の存在をそこまで意識しなくても良いので、沸かしすぎなければ適当で問題ありません。
もちろん温度の下がりすぎは駄目ですけどね。

完成。あとは用途に合わせて

以上の方法で約4時間煮出したフォン・ド・ヴォライユは臭みがなく、
しっかりとした旨味と香ばしい香りを持った極上のものになるはずです。

あとはシノワで濾して、用途に合わせて煮詰めたりなんやらかんやらします。

私は基本的にはフォン・ド・ヴォライユはソースのベースに使うので、
濾したフォンにトマトペーストを加えてしっかりと濃度が出るまで煮詰めていきます。

コンソメに使うときは、濾したフォンに少量のトマトペーストを加えてしっかりと沸かして灰汁を引きます。
その後、急冷して表面に浮いた脂を取り除き、クラリフィカシオンと合わせてコンソメにします。

ちなみにトマトペーストを最後に加える理由は、
先に入れてしまうと液体の濃度と旨味成分が濃くなってしまい、
その状態では鶏ガラや野菜から旨味成分が出にくくなるからです。


終わりに

長々と字ばっかりですみません。手が疲れました。
後編では画像を差し込みつつ鶏ガラ掃除から
完成までの流れを順を追ってご紹介させていただきます。→後編(´・ω・`)

散々偉そうに説明してきましたが、これはあくまでも私の中での正しいフォンの引き方です。
全てにおいて完璧ではないかもしれません。
ですが、この記事を見てフォンについて改めて考えてもらえるきっかけになればとても嬉しく思います。

それでは本日もお読みいただきありがとうございました。
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