料理の盛り付けについて考える



皆様こんにちは、こんばんは。
もうすっかり春ですね。
春は好きなのですが花粉がわんさか舞っているので
外に出るのがストレスです。
実質秋しかそとに出れない私は日本で暮らしていていいのでしょうか。

さて今日は
『料理の盛り付け』
について書いていこうと思います。

盛り付けの考え方、盛り付けに込められた意味などについて
私なりの考え方を述べていきます。

なので盛り付けの形はこれが正解!
というお話ではなく、
『こんな考え方もあるんじゃな』
って程度の気持ちでご覧ください。

では始めていきます。

目次

現代フランス料理の盛り付け

さて皆様、現代フランス料理の盛り付け
と聞くとどんなイメージを持たれるでしょうか。

『大皿にちょこっとだけ料理をのせる』

『お皿の端っこだけに盛り付ける』

『やたら葉っぱを飾る』

『なんかパウダーがかかってる』

などなど…
こんなイメージではないかと思います。たぶん。

昔のフランス料理はきちっと並べる盛り付けが多かったのですが、
最近はシェフの思想、ストーリーなどを
自由に表現していることが多く、
決まった型が無くなってきているように思います。

では、どうやって盛り付けを考えればいいか?
自分のやりたい形にすればそれでいいのか?

今日はこんなことについてお話していきます。


料理の盛り付けに求められること

盛り付けにおいて考えるべきことは、
大きくわけて3つあります。

①美しさ

②食べやすさ

③美味しさ

本当にざっくりと書きましたが、
この3つを抑えていればそれは正しい盛り付けといえるでしょう。

ではひとつずつ解説していきます。

美しい盛り付け

『美しい』
というのは主観なので、
これが一番難しいのですが
見た目の印象というものはとても大事な要素です。

どれだけ美味しくても見た目が受け付けなければ
その料理を素直に美味しいと思うのは難しいでしょう。

ただ美しさにも色々な形があると思いますので、
こんな盛り付けが美しい!
と説明することは不可能です。
なのでここでは本当に基本的なことだけを書き綴っていきます。

美しさポイント①『色の組み合わせ』

一番シンプルに食欲をそそる色の組み合わせはやはり、
『赤・緑・黄』を使った料理だと思います。

逆に、
『青・紫』などの色味は食欲を掻き立ててくれません。

赤いお肉をどんな色の皿に盛り付けるかということだけでも
見え方はかなり変わってきます。

赤・緑・黄の基本に沿うならば、
赤いお肉を黄色味がかったお皿に盛り付けて
緑のサラダを添えるととても自然で美味しそうな色味になります。

赤いお肉を青いお皿に盛り付けて紫キャベツのサラダを添えて出すのと
お客様の反応は大きく変わると思います。

もちろんこれは極端な例ですが、
盛り付けを考える時には色味の組み合わせは意識しておくべきですね。

ただ、この後の『美味しさ』の項目でも触れますが、
見た目をよくするために合わない食材を使うのは駄目です。
見た目と味、両方を満たせる食材やソースを、
しっかりと見極めて選ぶことが大事ですね。

どうしてもいい感じの色の付け合わせが思い浮かばない時は
お皿を変えてみましょう。
お皿の色味や形も大事な構成要素のひとつです。

美しさポイント②『高さ』

盛り付けにおいて高さも大事な要素です。

基本的には同じ食材の組み合わせならば、
ぺったんこに盛り付けるよりも
食材を集めて小高く盛る方が美しく見えます。

カルパッチョのように薄く敷き詰めるような料理でも、
その上にハーブやサラダなどを立体的に盛ると
お皿のイメージに軽やかな動きが出て
より良く見せることができます。

サラダ、パスタなどのシンプルな料理が分かりやすいですね。

ただこれも後ほど触れますが、
高く美しく盛り付けることを意識しすぎて
食べづらくなってしまっては意味がありません。
『どうやって食べんねん』
って思われない程度に
高く美しく盛り付けましょう。


食べやすさを考えて盛り付ける

次はお客様が食べやすいような盛り付けを考えていきます。

どれだけ美味しくても食べるのにストレスがかかる料理は
素直に美味しいと思ってもらいづらいです。

これもいくつかのポイントに分けて解説していきます。

食材の大きさ、固さ

これは極々当たり前のところですね。
口に運びやすい、又はナイフで切り分けやすい大きさ、固さを
考えて盛り付けることは当たり前ですがとても大事な事です。

柔らかいお肉やジャガイモなどであればお客様にナイフで
切り分けていただくのも楽しみ方のひとつですが、
たとえば繊維質の野菜や大きなトマトなど、
ツルツルのあまり切れ味の良くないテーブルナイフでは
切りづらいものを気づかずに出しているケースもあります。

小さなことかもしれませんが私は自分が食べに行ったときに
こういったことがすごく気になります。

切りづらい食材はあらかじめ一口サイズにするか切り込みを入れるか、
または切れ味の鋭いナイフを用意するかしないと
料理人の自己満足のための盛り付けになってしまうと思います。

食材、ソースの配置

次は盛り付けの配置についてです。
アーティスティックでおしゃれな盛り付けを意識するあまり、
食べる人の姿を忘れてしまっては意味がありません。
ソースを流す位置にはちゃんと理由が必要なのです。

例えばこの写真を見てください。

これは一つの料理の写真を反転させたものです。
まるっきり反転させているので
盛り付けの形は同じ雰囲気になっていると思います。

ただこの盛り付けは、
片方が正解で片方が大不正解なのです。

ではどちらが間違いかわかりますか?

正解は、
①枚目が正しい盛り付け。
②枚目が間違った盛り付けです。

その理由をご説明いたします。

お客様がこの料理を食べる時、
ナイフとフォークを使って食べます。
そしてナイフとフォークは、
右手にナイフを持ち、左手にフォークを持って使うのが普通です。

となるとお皿の右奥から左手前にかけてお肉をおいている方が
自然な形でお肉を切って、その手前に流してあるソースをつけて
口に運ぶことができるのです。
シミュレーションしてもらえればすぐわかると思います。

②枚目の間違った盛り付けではお肉や付け合わせの場所を
自分で動かさないと自然な形で口に運ぶことができません。

自然にストレスなく食べてもらえるように
盛り付けを決めたら一度自分で食べてみるか、
シミュレーションしてみてはいかがでしょうか。


美味しくなるように盛り付ける

最後のポイントは
『美味しさ』
です。

せっかく美味しく作ったパーツを
盛り付けで台無しにしてしまってはもったいないですよね。

味に関することは当たり前の事ばかりですが、
しっかりと意識して盛り付けを考えましょう。

ソースや付け合わせの量を考える

『こういったデザインでソースを流したい』
『これぐらい付け合わせを添えたらカッコ良くなりそう』

こういった考えが先行してしまったときに
なってしまいがちですが、
ソースや付け合わせの量はデザインに左右されてはいけません。

しっかりと必要な量を決めてから
それに合う盛り付けを考えるのが大事です。

そこに先程述べた、
『美しさ』『食べやすさ』
を加味して盛り付けの形を決めましょう。

温度を意識する

レストランで盛り付けをするときに一番気を使うのはやはり温度です。

凝った盛り付けをしようとすると
時間がかかってしまうので、
その間に温度が下がってしまったりぬるくなってしまったりします。

かといって適当に盛り付けてしまうと美しさが削がれてしまいます。

これに関しては、
使える人数、キッチンのオペレーション、器具等の配置
などをしっかりと考えてそれぞれ最善のバランスを見つけるしかありません。

ただその中でも、
盛り付け方で解決できることもいくつかあります。

例えば、
ゼラチン質を多く含んだソースがあるとしましょう。
ゼラチン質を多く含んでいると
少し冷めただけですぐにベタベタと固まってきてしまいます。

そういったソースは、冷めないように提供直前にかけて
なおかつ冷めづらいように広範囲にかけるのではなく、
一点に流すことでかなり温度が保てます。

このように盛り付けの順番、盛り付け方によって
味を保つことができるものは多く存在します。
そこを意識するかしないかでお客さんの受ける印象は
大きく変わるでしょう。


まとめ

なるべく簡潔に3つのポイントを挙げましたが、
それでもなんだかんだ長くなってしまいましたね。

Twitterなどでも、
『盛り付けはどうやって考えているんですか?』
と質問いただくこともあるのですが、
私が考えているのは大体こんなところですね。

これらを全て頭に置いたうえで、
使う食材やソースが決まれば
おのずと盛り付けの形が見えてきます。

あとは
『味や食べやすさを損なわない範囲でどれだけ遊べるか』
という感じでしょうか。

是非、美味しく面白い盛り付けを考えてみてください。
この記事が少しでも皆様の参考になれば幸いです。

それでは本日もお読みいただきありがとうございました。
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