ソースエスパニョールのレシピ

皆様こんにちは、こんばんは。
沖縄に旅行に行きたいなと思っているのですが、
どこにいっても引き込もってYouTubeを見ることは明白なのでなかなか踏ん切りがつきません。

さて本日は、
『ソースエスパニョール』
のレシピをご紹介します。

最近は作るお店も減ってきたこのソースですが、
ソースドゥミグラスを作るためには必ず必要となるので、
西洋料理を作る人間として必ずおさえておきたいレシピですね。

なので今回はソースエスパニョールの基礎知識から、
作り方までしっかり詳しく解説していきます。
ただ、作り方は少々現代風に余分な部分をそぎ落としているので、
エスコフィエの時代の本当にクラシックなソースエスパニョールとは
少し違うものとなっております。
ご了承の上、ご覧ください。

では始めていきましょう。

ソースエスパニョールとは

ソースエスパニョールはフォンドヴォーをベースに、
ブラウンルウ、牛すね、又は牛筋、トマトなどを加えたしっかり旨味のあるソースです。

ただソースという名前はついておりますが基本的にはそのまま使うものではなく、
アルコール類を使ったソースのベースに使ったり、
お馴染みソースドゥミグラスに派生させたり、
煮込み料理のベースに使われたりします。

昔はフランス料理のソースといえばソースエスパニョール、
ソースドゥミグラスをベースに作るのが主流だったのですが、
近年ではそれではソースが重すぎるということで、
フォンドヴォーをベースに作るのが主流となり、
あまりフランス料理店の現場でみることはなくなってしまいました。

ソースエスパニョールの本来のクラシックな作り方は、
フォンドヴォーに牛すね、香味野菜などを加えて煮込んで濾して、
また加えて煮込んで濾して…
というのを3日がかりでやるのですが、
これではあまりに時間がかかってしまうので現代のレストランの環境でやるのはさすがに難しいと思います。

それに、これは個人的な考えですが、
どんどん素材を継ぎ足して煮出しても、
旨味の強い液体になればなるほど素材から旨味は抽出しにくくなるので、
正直この工程には無駄が多いのではないかと思います。
クラシックなやり方で作っている方がいらっしゃいましたらすみません。
あくまでも個人的な意見です。

なので今回は少しライトめな味わいで、
でもブラウンルウと牛の香りはしっかりと活かしたソースエスパニョールを作れるようなレシピを考えました。

フォンドヴォーを市販のものにすれば、
オペレーション的に厳しい小型店舗やご家庭でも簡単に作れますので、
ぜひチャレンジしてみてください。

フォンドヴォーから作る猛者はまずこちらの記事からどうぞ。↓

【プロ向け】フォンドヴォーの作り方

06/05/2020

YouTube動画

ソースエスパニョールのレシピ

  • 1kg    フォンドヴォー
  • 300g ブイヨン
  • 50g  バター
  • 40g  強力粉
  • 150g マッシュルーム
  • 800g 牛筋やクズ肉
  • 20g  トマトペースト
  • 適量   ブーケガルニ、黒胡椒ホール

※ブイヨンはブラウンルウの色止めに使っているので無ければ水で代用可。

※強力粉は薄力粉でも可。

※トマトペーストは6倍濃縮のものを使用。

作り方

①まずあらかじめ牛筋、クズ肉をオーブンでローストしておく。
ローストのポイントはフォンドヴォーの記事でも書いてある通り、
しっかり水分を飛ばしながらローストすること。
今回は3~4センチ角ぐらいのクズ肉を使用し、
大体100℃で3時間、その後140℃で1時間ほどローストしてある。

②次に綺麗に洗ったマッシュルームを用意し、少し厚めにスライスしておく。
このマッシュルームは煮出したあと取り除くのでカットは適当でOK。

③フライパンにサラダ油とバター(分量外)を入れて熱し、
バターがうっすらと色づいたらマッシュルームを加えて炒めていく。

④マッシュルームはあまり動かさずにしっかり焼き色を付けてあげると、
より香り高いソースに仕上がる。
下の画像ぐらいの色になったら取り出して置いておく。

⑤次にブラウンルウを作っていく。
後でルウに水分を加えて煮込むので余裕をもって大きめの鍋を用意する。

⑥鍋にバターを入れて弱火で溶かす。
バターが溶けたら一旦火から外して60℃以下になるまで鍋を冷ます。

POINT
バターを一旦冷ます理由は、熱い状態のバターに小麦粉を加えてしまうと、
デンプン質がデキストリン化(凝固)するのでダマの原因になってしまうから。
デキストリン化は60℃以上で起こるのでそれ以下にしておく必要がある。

⑦温度が下がったら強力粉を加えて滑らかなペースト状になるまで、
しっかりと混ぜ合わせる。

⑧滑らかなペースト状になったら火にかける。
はじめは強火で沸騰してきたら火加減を落として、
ヘラで混ぜながらじっくりと炒めていく。

⑨色づくにつれ、放置しておくとすぐに焦げるようになるので、
常に状態を見ながら画像ぐらいを目安に色づける。
なお、ずっと強火で高温で炒めているとすぐに焦げてしまうので、
必ず弱火でじっくりと炒めていくこと。

⑩ブイヨンを少量加えて色止めする。
そして都度混ぜながら何回かに分けてブイヨンを加えていく。
この時、高温のルウが跳ねる恐れがあるので注意する。
もし跳ねるのを防ぎたければ一度ルウを炒めていた鍋に氷や濡れ布巾を当てて、
鍋の温度を下げてからブイヨンを加える、という手順を踏んでも良い。

⑪ブイヨンを混ぜる際は鍋の温度が下がりすぎるとルウが凝固して混ぜにくくなるので、
火にかけて軽く沸かしながら混ぜてやるとやりやすい。

⑪ブイヨンを全て混ぜたら一度しっかり沸かして滑らかな状態にする。
ブラウンルウは小麦粉にしっかり火を入れているためダマにはなりにくいが、
万が一ダマができても煮込んだ後に濾すのでさほど気にする必要はない。

⑫フォンドヴォー、炒めたマッシュルーム、ローストした牛筋とクズ肉、
ブーケガルニ、黒胡椒ホールを加えて一旦沸かし、はじめに浮いてきた灰汁だけをとり、
弱火で煮込んでいく。

⑬煮出す時間の目安は加えた牛筋とクズ肉の大きさによるが、
今回は比較的小さめの肉を使っているので大体1~1.5時間を目安に煮出す。
肉がもっと大きい場合は時間を長めにすると良い。

⑭煮出し終えたらシノワ(目の細かいザル)で濾す。
濾す際は素材を押しつぶしたりせず自然に液体だけ落とす。

⑮再度沸かして、またはじめに浮いた灰汁だけを取り除き、
トマトペーストを加えて混ぜ合わせる。

⑯弱火で軽く煮込み、トマトペーストの酸味の角がとれたら完成。
ルウが入ったソースはアルコールベースのソースよりも傷みやすいので、
すぐに使用しない場合は必ず急冷する。
保存は冷蔵庫で3日程可能、もしくは真空冷凍する。

ちなみに今回の分量で約1000gが仕上がり量の目安となるが、
フォンドヴォーやブイヨンの旨みの量によってベストの仕上がりは変わるのであくまでも目安に。

灰汁はどれぐらい取るのが正しいのか?

今回のソースエスパニョールの作り方で何度か出てきた、
『はじめに浮いた灰汁だけをとる』
という工程に関して詳しくお話していきます。

ソースエスパニョールを実際を作るとわかるのですが、
煮込んだり沸かしたりしていると止めどなく灰汁?というか、
なんやらかんやらそれっぽいものが浮いてきますが、
今回は一番初めに浮いた灰汁しかとっていません。

その理由をお話していきたいのですが、
その前になぜ灰汁は取り除かなければいけないのか?
というお話からさせていただきます。

灰汁はなぜ取り除かなければいけないのか?

灰汁を取り除く理由は、
【ソース、フォンなどに臭みを残さないため】
【より仕上がりをクリアにするため】
この2つが主な理由になります。

ではなぜ灰汁を取り除くと臭みが残らずクリアになるのか、
ということについて深堀して解説していきます。

仮にお肉と水を使ってスープをとるとしましょう。
鍋にお肉と水を入れて火にかけます。
そうすると、水の温度が上がり、それによってお肉に火が入ります。
お肉に火が入ると細胞が壊れ、お肉に含まれる水分が外に出ていきます。
その水分に含まれていたタンパク質がスープ内で加熱されて凝固し、
スープ中の油脂などと結合して浮遊してきたものが灰汁の正体です。

この灰汁には雑味や臭みがあるので、これを取らずにスープを煮出し続けると、
お肉の臭みが残ったり灰汁が細かくスープに散って濁ってしまいます。
こういった理由から灰汁は取り除いた方が完成度の高いスープができあがる、というわけです。

話は戻って灰汁をどれぐらい取り除くのか?

上記の通り、臭みや雑味を伴う灰汁はお肉などからでる水分と共に出てくるものです。
つまり煮出す具材にしっかり火が入りきって
余分な水分が出きった時点で臭みや雑味を伴う灰汁はほぼ出てきません。

今回煮出す牛筋や牛のクズ肉はしっかり水分を抜ききるイメージでローストしています。
これによって牛肉のタンパク質を予め凝固させ、
灰汁がほとんど出ないようにしているのです。

なので最初に浮いてくる灰汁だけ念のため除去し、
それ以外はとる必要がないと判断したため今回のような工程をとるに至りました。

じゃああの浮いてくる灰汁みたいなやつって何?

ここまでをご覧いただいた方の中にはこう思った方も少なくないはず。

ソースやスープを煮出していると、
上記の灰汁と違った成分の灰汁っぽいやつがどんどん出てくる場合があります。

この正体は何かと聞かれたら一概にこうだとは答えられないのですが、
主には野菜から溶け出したマグネシウムやカルシウム、肉や魚の脂、バター、トマトの色素成分などなど…
様々な成分がこの灰汁っぽいやつの正体です。

正直これらは取り除ききることは困難ですし、味の面で悪影響はほぼありません。
その証拠にソースエスパニョールを作った際に後半で出てくる灰汁っぽいやつを味見してみてください。
おそらく臭みがなく美味しいと思います。

なのでこれを取り除き続けるとそれだけ旨味の素を捨ててしまっているということになるので、
なんか浮いてたら取りたくなる気持ちもわかりますが、ここはぐっと堪えましょう。

フォンなどで灰汁はこまめに取り続けるのは間違いなのか

さらにここまで読んだ方の中にはこう思った方はいらっしゃいませんか?
ブイヨンやフュメドポワソンなどはこまめに灰汁を取り続けるって本に書いてあるんですけどねえ…(半ギレ)
…と。
これに関しても解説していきます。

フュメドポワソンやブイヨンなどのクリアな出汁を作る場合は、
素材を焼き付けたりオーブンでじっくりローストしたりはしません。

なので下茹でだったり軽く炒めたり湯霜だったりで下処理をして煮込み始めることがほとんどだと思います。
そうすると先程のソースエスパニョールを煮出す時と違って
素材の水分が多い状態で煮出し始めることになり、
水のなかでゆっくりと加熱されゆっくりとタンパク質を含む水分を出していきます。

だから始めに沸かしたときに一通り灰汁を取り除いてもあとから少しずつ浮いてきてしまうのです。
こういった理由からクリアな出汁を作る時はこまめに灰汁を取り続ける、
というやり方が一般的なのだと思います。

あとフュメドポワソンやブイヨンは料理のベースとなるため、
なるべくクリアな味に仕上げた方が使いやすくなります。
なので多少旨味の素を取り除いてでも、
できる限り不純物を取り除くという選択をすることは理にかなっているかなと思います。

一方先程のソースエスパニョールの件に戻りますが、
ソースエスパニョールはルウやトマトを使った複雑で透明度の無いソースです。
つまり冒頭で書いた、
【より仕上がりをクリアするため】
という条件は必要なくなるので、
臭みの原因となりうるはじめの灰汁だけをとれば十分だ。
というのが結論です。

おわりに

長々とお付き合いいただきありがとうございます。
今回はソースエスパニョールをなるべく簡略化しつつも本格的な味と香りを楽しめるように作ってみました。
基本的な作り方はYouTube動画と合わせてご覧いただければよりわかりやすいと思いますのでぜひお試しください。

次回はこのソースエスパニョールをベースにソースドゥミグラスとビーフシチューを作ります。
今回と同様にYouTubeにも載せますのでどうぞ宜しくお願い致します。

またフォンに関する記事を他にも書いておりますので、
合わせてぜひご覧ください。↓

【プロ向け】フォンドヴォーの作り方

06/05/2020

クリアな出汁をとるためには

10/06/2019

Anovaでブイヨンを作る【フォン・ブラン・ド・ヴォライユ】

25/01/2019

それでは本日もお読みいただきありがとうございました。
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