プロの為のフォン・ド・オマール講座



皆様こんにちは、こんばんは。
新しい服を買えば外に出かける理由ができる!と思って服を買いに行こうと思ったのですが、そもそも服を買いに行くための服が無いことに気づいて結局引きこもりました。

さて本日は、
『プロの為のフォン・ド・オマール講座』
をやっていきたいと思います。

フォン・ド・オマールはフランス料理には欠かせない出汁のひとつで、ソースやコンソメ、スープなど様々な料理に派生させることができます。
ただいい加減な方法で作ってしまうと生臭く、そして薄っぺらい味の出汁になってしまうので注意が必要です。

今回はフォン・ド・オマールをクリアで雑味の無い、香り高い状態にするにはどうすればいいのか?
ということについて詳しく解説していきたいと思います。

オマール海老だけでなく、他の海老の殻やカニなどを使って作る際も基本的には注意点は同じなので、ぜひ参考にしてもらえたら嬉しいです。

では早速始めていきましょう。

目次

フォン・ド・オマールのレシピ

  • 5kg  オマールヘッド
  • 600g 玉葱
  • 300g 人参
  • 300g セロリ
  • 2個   ニンニク
  • 適量   ブーケガルニ
  • 400g 白ワイン
  • 400g ブランデー
  • 1kg  フォンブラン
  • 1kg  フュメドポワソン
  • 30g  トマトペースト

※オマールヘッドは冷凍のものを使用。
フレッシュを使う際は頭だけでなく他の部位の殻も使用する。

※今回はフュメ・ド・ポワソン(魚の出汁)とフォン・ブラン・ド・ヴォライユ(白い鶏の出汁)を合わせて使う。
フュメ・ド・ポワソンだけでも良いが、動物性の旨味を少し加えた方が味に複雑味が出る。

フォン・ド・オマールの作り方

①まずはオマールヘッドの掃除をする。
オマールヘッドを殻と足に分け、ミソやコライユは臭みの原因となるため綺麗に洗う。

ミソやコライユについて
冷凍のオマールヘッドは鮮度に不安があるためミソやコライユは基本的には使わない。
新鮮なオマール海老を使用する際は、取り置いてソースに使用したりする。

②掃除したオマールヘッドを天板に並べて軽くサラダ油を回しかけてオーブンで加熱する。
オマール海老を含め、甲殻類の殻は肉と違って焼き色を付けるというよりかはしっかり乾かす、というイメージで低めの温度で加熱するのがポイント。
高温で加熱するとすぐに焦げてしまい、甲殻類が持つ香ばしい香りが邪魔されてしまう。

③今回は100℃のオーブンで5時間ほどローストした。
時間はサイズや種類によって調節する。

④完全に水分が無くなり、香ばしい香りがしていればOK。
手で簡単に粉砕できるぐらいを目安にすると良い。

⑤オマールヘッドを加熱している間に香味野菜を炒めておく。
寸胴鍋に半割にしたニンニクと気持ち多めのサラダ油を入れて火にかけ、軽く色づける。

⑥ニンニクが色づいてきたらスライスした香味野菜、お好みのハーブなどを加える。
今回は玉葱、人参、セロリに加えて、タイム、ローリエ、マッシュルームを使用。

⑦香味野菜はあまり色づけないように弱火でじっくりと炒める。
しっかり香味野菜を色づけてしまうと海老の香りの妨げになるので注意する。

⑧香味野菜から余分な水分が抜け、しんなりとしてきたらローストしたオマールヘッドを加える。

⑨オマールヘッドを軽く砕きながら全体を混ぜ合わせる。
オマールヘッドを砕くのは短時間で香りを出すためだが、砕きにくい場合は適当でOK。

⑩白ワインとブランデーを注ぎ、強火で沸かしてアルコールを飛ばす。
この時鍋底が焦げる恐れがあるので適宜混ぜながら加熱すると良い。

⑪アルコールが飛んだらフォンブラン、フュメドポワソンを加え、さらにそのあと全体が浸るぐらいの水も加える。

⑫一旦沸かして灰汁を取る。
オマールヘッドをしっかり乾かしていれば灰汁はあまり出ないのではじめに軽く取っておけば、あとはさほど気にしなくてよい。

⑬あとは弱火で2時間ほど煮出す。
必要であればブーケガルニやお好みのスパイスなどを加える。

⑭十分に旨味と香りが出たらシノワ(目の細かいザル)で濾す。

⑮再度沸かして灰汁を取り、トマトペーストを加える。
味を見て必要に応じて煮詰めたりして濃度を調節する。

⑯完成。
急冷して冷蔵庫で3日ほど保存可能。
すぐに使わない場合は真空パックして冷凍しておくと良い。

フォン・ド・オマールを美味しく作るポイント

さて作り方のところでもある程度は解説しましたが、フォン・ド・オマールを美味しく作るためのポイントをピックアップして詳しく解説していきます。

オマールヘッドはしっかり乾燥させるようにローストする

クリアで美味しいフォン・ド・オマールを作るためのポイントの9割はこれだと思って間違いないです。

オマールヘッドに水分が残っていると臭みの原因になりますし、香ばしさがでません。
フォンも濁りやすくなってしまうのでここはしっかりと意識しておきましょう。

また、オーブンでローストせずに鍋で炒めるのはどうか?と聞かれることがあるのですが、個人的にはおすすめしません。
鍋で炒めても水分を抜ききることは難しいですし、必ずムラが出てしまいます。
それにしっかり炒めようと思うとかなりの時間鍋に付きっ切りになってしまうので、時間効率の面から見てもオーブンでローストするほうが良いかなと思います。

オマールヘッドは決して焦がさない

オマールヘッドの特に殻の部分は非常に焦げやすいため高温でのローストはおすすめできません。

殻を焦がしてしまうとその匂いがフォンにも出てしまい、海老の香ばしい香りが阻害されてしまいます。

オマールヘッドの適切なロースト具合を見極められるようになれば、高温加熱と低温加熱をうまく使い分けて時短することもできますが基本的には低温(高くても130℃ぐらい)で行いましょう。

ミソやコライユは綺麗に洗っておく

ミソやコライユの掃除は非常に面倒ですが、そのままローストしてしまうと苦みやエグみが出る原因になります。
必ず綺麗に取り除いておきましょう。

もし新鮮なミソやコライユが手に入ったら取り置いておき、バターと合わせてソースの仕上げに溶かし込んだりして使った方が効果的です。

また、コライユは90℃ぐらいの低温のオーブンで2時間ぐらい乾燥焼きにして、ミルで粉砕すると綺麗な赤色のコライユパウダーが作れますので、ぜひお試しください。

フォンブランやフュメドポワソンは出来るだけ使用する

フォンブランやフュメドポワソンを使わずに水だけで煮出しても美味しく作れるのですが、オマールヘッドから出る旨味はたかが知れているので、水だけで作ると旨味が足りなくなりがちです。

それを補うためにしっかり煮詰めれば問題ないのですが仕上がりの量が少なくなってしまうので、旨味はフォンブランやフュメドポワソンで補ってあげる方が味に複雑味も出るのでおすすめです。

終わりに

今回も長々と書いてしまいました。
最後までお読みいただきありがとうございます。

私のブログやTwitterをいつもご覧いただいている方々は『またガラの水分の話かよ』って思われたかもしれませんが、これは本当に素材が鶏でも牛でも関係なく非常に大事なポイントなのでこれからもしつこく言い続けます。

このフォン・ド・オマールを使った、コンソメ・ド・オマール(オマール海老のコンソメ)のレシピも紹介しています。↓

コンソメ・ド・オマール(オマール海老のコンソメ)のレシピ

20/05/2018

また、他のフォンの作り方、ロジックを詳しくまとめた記事も書いていますので、興味のある方はぜひ合わせてご覧ください。↓

プロの為のフォンドヴォー講座

06/05/2020

【前編】プロの為のフォン・ド・ヴォライユ講座

26/08/2017

それでは本日もお読みいただきありがとうございました。
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