ブフ・ブルギニョン(牛頬肉の赤ワイン煮込み)のレシピと作り方

皆様こんにちは、こんばんは。
隠れ料理人をあぶり出すライフハックをひとつ。
有名ブランドのお皿にのせた料理の写真を見せたとき、その料理がどうかという話より先にお皿のブランドの話をし始めたら、その人は間違いなく料理人です。

さて本日は、
『ブフ・ブルギニョン(牛頬肉の赤ワイン煮込み)のレシピと作り方』
をご紹介します。

ブフ・ブルギニョン(Bœuf bourguignon)はフランス・ブルゴーニュ地方の郷土料理で、牛肉を赤ワインや香味野菜と共にじっくりと煮込んだお料理です。
元々は家庭料理なこともあり作り方は本当に様々で、お肉の部位を頬肉にするのかバラ肉にするのか、使用するワインの種類や量、そして煮込むまでの手順から、その料理人によって幾多のレシピが存在します。

なので、一概にこれが正解の作り方だ、という風には言えないのですが、今回のレシピは自分なりに全ての工程の理由を考え、それに対する最適解だと思える手順を選んで組み立ててみました。
詳しく書くあまり、恐ろしいほどに長くなってしまいましたが、どこか参考になる点があれば嬉しく思います。

では始めていきましょう。

目次

ブフ・ブルギニョンのレシピ

  • 2000g 牛頬肉
  • 600g  玉葱
  • 300g  人参
  • 200g  セロリ
  • 5~6片  ニンニク
  • 2枚    ローリエ
  • 5~6本  タイム
  • 20g   トマトペースト
  • 1500g 赤ワイン
  • 300g  マデラワイン
  • 適量    フォンドヴォー(二番)
  • 4g~   塩
  • 80g~  フォンドヴォーコルセ
  • ~15g  バター
  • 適量    コーンスターチ

※赤ワインはミディアム~フルボディのしっかりめのものを選ぶと良い。

※フォンドヴォーの二番はフォンドヴォライユでも可。

※マデラワインはポートワインで代用可。

作り方

①牛頬肉の下処理をする。
ドリップをふき取り、余分な脂の塊だけ取り除く。
表面の分厚いスジは長時間煮込んで柔らかくなるので基本的には取り除く必要はないが、口あたりが気になる場合は取り除いても良い。

②肉をお好みの大きさにカットする。
煮込むと一回り小さくなるので、仕上がりのイメージよりも大きめにしておく。

③サラダ油で肉をリソレする。
全体に香ばしく焼き色を付けて引き上げる。

④香味野菜は煮崩れしにくいように2~3cm角ぐらいの大きめのサイズにカットする。
ニンニクは皮付きのまま半割にする。

⑤適量のサラダ油とニンニクを火にかける。
うっすら色付いたら香味野菜を加える。

⑥じっくり時間をかけて甘みを引き出すというよりは、強めの火加減でざっと全体に焼き色をつけるようなイメージで香味野菜を炒めていく。

⑦香味野菜から程よく香ばしい香りが出てきて鍋底も色付いてきたら、赤ワインとマデラワインを加えてデグラッセする。

⑧タイム、ローリエ、トマトペーストと塩4gを加えて沸かし、ワインのアルコールを飛ばす。
この段階ではあまりワインを煮詰めずにアルコールが飛んだ時点で火を止める。

⑨火を止めたらリソレしておいた牛頬肉を入れてそのまま冷ます。
肉にワインがしっかり浸るようにラップやクッキングシートなどで落し蓋をし、冷蔵庫で1~2日間マリネする。

⑩1~2日間マリネしたら冷蔵庫から出して火にかける。
その際、煮汁にしっかり肉が浸るように必要に応じてフォンドヴォーの二番を加える。
フォンが無ければ水でも良い。

⑪沸騰手前の85~90℃ぐらいの温度を保ち、火入れする。
完全に沸騰させて対流を起こすと煮崩れの原因となるので注意する。
もし可能であれば100~110℃ぐらいに設定したオーブンで火入れするのが望ましい。

⑫肉のサイズにもよるが大体5時間ほど火入れし、肉に串がスッと抵抗なく入るぐらいを完成の目安にする。
また、串を刺すときはスジの部分と赤身の部分両方に刺さるようにして、それぞれの固さをしっかり確認しておく。

⑬火入れが終わったら、そのまま急冷して冷蔵庫で1日寝かせる。

⑭冷やすと上に脂が浮いて固まるので、これをざっくりと取り小鍋などに入れる。

⑮脂を軽く温めて溶かし、シノワで濾す。
この脂はソースの仕上げ時に使用するので、それまでおいておく。

⑯煮込みの方の鍋を火にかけて50℃ぐらいまで温度を上げる。
ゼラチン質で固まっていた煮汁が溶けたら肉だけを取り出して、乾燥しないようにラップなどをかけておいておく。
この時、温度を上げすぎると肉が柔らかくなって崩れてしまう恐れがあるので、必ず軽く温めるだけにとどめておく。

⑰煮汁を一旦沸かし、シノワで濾す。
煮汁を濁らせたくないので、濾す際は香味野菜を押しつぶしたりせずに液体だけを自然に落とす。
濾したら一度沸かして、灰汁を取り除く。

⑱煮汁に肉を戻してそのまま冷ます。
冷めたら蓋(無ければ落し蓋)をして、また冷蔵庫で1日寝かせる。

⑲翌日、再度50℃ぐらいまで煮汁を温めて溶かす。
前日と同様に肉を取り出しておく。

⑳煮汁を半量ぐらいまで煮詰めたら肉と合わせて冷やす。
冷蔵庫で1日寝かせる。

㉑翌日、これまでと同じように煮汁を温めて肉を取り出し、煮汁をソースに仕立てる。

㉒煮汁を500~600gほどまで煮詰め、フォンドヴォーコルセを加える。

㉓⓮で取りおいていた脂を少量とバターでモンテする。

㉔塩と黒胡椒で味を調え、必要に応じて水溶きコーンスターチで濃度を調節したらシノワで濾す。

㉕肉を戻して温めなおし、提供する。
すぐに使用しない場合は肉とソースを合わせて真空し、冷凍しておくと良い。

作る際のポイント

肉のカットについて

今回肉をあらかじめポーションカットしてから調理していますが、断面の綺麗さを求めるなら、ブロックのまま火入れしてその後にカットした方が綺麗で形も揃えて提供することができます。
ただ、あらかじめカットしておくと断面全てに焼き色を付けることができ、より風味よく仕上げることができます。
これに関しては仕上がりをどういった状態に持っていきたいかによって正解が変わるので、お好きな方法を選択していただければと思います。

肉のマリネについて

このお料理を作る際に、多くの方がお肉を赤ワインで1~2日マリネしてから煮込み始めていると思います。
お肉を赤ワインでマリネする理由は色々あり、ワインの香りをより浸透させる、赤ワインのポリフェノール(タンニン)が脂の酸化臭を抑える、ワインの酸でお肉が柔らかくなる、などが挙げられます。

そしてそのマリネ方法に関してですが、レシピ本の多くは生のお肉を赤ワインに漬けてから調理する、と書かれてありますが私は先にお肉をリソレしてからマリネする方法を選択しています。
理由は赤ワインに漬け込んだ後に焼くと、どうしても表面に浸透した赤ワインの成分が焼き付いて、お肉に綺麗に焼き色を付けることができないためです。
漬け込む前の方が綺麗に焼き色を付けることができ、浸透した赤ワインの焦げた匂いが入る恐れもありません。

また、香味野菜も上記のお肉と同じ理由で先に加熱します。
香味野菜をしっかり炒めて香りを引き出す作業は煮込みにおいて非常に大事な工程だと思っているので、先に炒めてからマリネします。
赤ワインに付けた後だと赤ワインの水分と成分が邪魔をしてじっくりと全体を綺麗に炒めることが困難だと判断したためですね。

マリネ用の赤ワインについて

今回、赤ワインのアルコールをあらかじめ煮切ってからマリネに使用しています。
この理由に関しては私の感覚的な問題になりますが、アルコールがある状態のワインに漬け込むとお肉の中にわずかな苦みが感じられたためです。
ワインの風味を浸透させる、という意味ではこれで正しいとは思いますが、ワインの刺々しい部分も一緒に付いてしまうことは個人的には望ましくなかったため、今回の方法を選びました。

ちなみに赤ワインのポリフェノール(タンニン)は少し加熱した程度では失うことはありませんし、赤ワインに含まれる主な酸(乳酸、酒石酸)は揮発しないので、マリネする上でこれらの成分による作用に変わりはないと考えています。

ワインの種類について

今回ワインは、カベルネソーヴィニヨンとシラーを使用しました。
ブルゴーニュ地方の郷土料理ということで、本来はブルゴーニュワイン(ピノノワール)を使うのが伝統的ではあると思うのですが、如何せんピノノワールは比較的高価な品種ですし、純粋な味の力強さという面ではカベルネソーヴィニヨンやシラーに軍配があがります。
なので、余程の意図が無い限りはピノノワールを使用する必要はないかなと個人的には思っています。

また、今回マデラワインを少量加えていますが、これはソースの凝縮感と甘みを補強するためです。
赤ワインのみで作ると糖分が少ないので、よく言えばキレがある、悪く言えば奥行きの無い味に感じられるので、何かしらの酒精強化を加えた方が万人受けする味になるかと思います。
万が一手に入らない場合は、蜂蜜や砂糖を少量加えて甘みを足してやるといいですね。

火入れについて

今回火入れは低温のオーブンを使用しました。
量にもよりますが、コンロでの加熱は温度のムラが出やすいですし、ムラを無くすために鍋を揺すったりかき混ぜたりするのは煮崩れの原因になるので、オーブンの方が確実に綺麗に火入れできると判断したためです。

先に煮汁に塩を計量して入れる理由

今回肉をリソレする時や、香味野菜を炒めるときに一切塩を振っておらず、煮汁に塩を4gだけ加えて火入れを行っているのですが、これは最終的なソースの量が500g前後になることを見越して、確実に必要である量だけをあらかじめ加えています。
肉や香味野菜に塩を振らなかったのは総量が計算できなくなるからですね。

そして先に煮汁に塩を入れたのは、時間をかけて加熱することで肉に均一に塩分を浸透させることができるからです。
作り方を見ていただければわかる通り、肉の火入れが終わってからも煮汁を段階的に煮詰めて寝かせて、というのを繰り返しています。
これによって、煮詰まった煮汁の塩分濃度が少しずつ高まり、肉にも少しずつ塩分が浸透していくという狙いです。
仕上げ段階で急にソースに塩を大量に入れても、それほど肉に塩分が入っていかないので段階的に塩分濃度を上げる工程を踏むため、はじめに計算して加えた、というわけです。

トマトペーストの必要性

トマトペーストもしくはトマトを加えるか加えないか、というのは人によって違うと思うのですが、やはり肉の旨味を引き立てるためにはグルタミン酸ナトリウムが必要ですし、赤ワインの風味を損なわない程度には加えた方が美味しくなると感じます。
ただ、どうしてもトマトの味が不必要だと感じる場合は、同じグルタミン酸ナトリウムを持つ生ハムの切れ端を少しだけ加えるといいでしょう。

煮汁を段階的に煮詰めて寝かせる理由

煮込み終えた時点では、肉の旨味が煮汁の方に出て、肉自体は少し味気ない状態になっています。
この状態のまま煮汁を煮詰めてソースを作り仕上げると、ソースは美味しいけど肉が物足りない、という少しちぐはぐな味わいになってしまいます。
それを防ぐためには、煮込み終えた後も煮汁の中でじっくり寝かせて旨味や塩分を馴染ませる必要があります。

ただ急に煮汁の濃度を濃くしてしまうと、肉に浸透しづらくなってしまうので、段階的に煮汁の旨味と塩分の濃度を上げて少しずつ時間をかけて味を馴染ませる、という工程を踏みました。
これによって肉とソースに一体感が生まれ、完成度の高い煮込みになるかと思います。

脂を取り置いた理由

今回煮込みの段階で出た脂を一旦取り除き、あとから必要な量だけを戻しています。
カジュアルな仕立てであればわざわざ脂を取る必要もないのですが、今回はクリアで洗練された味にしたかったのもあり、ソースに対しての油脂の量が多くなりすぎないように調節しました。

仕上げのモンテはバターだけを使用してもいいのですが、良くも悪くもまろやかになりすぎるので、半量を牛の脂にすることで牛の香ばしい風味を引き立たせています。

また、今回モンテに普通の発酵バターを使用しましたが、このミルキーさが邪魔と感じる場合はブールノワゼットにして加えてもキレが出て美味しいです。

再加熱時の注意

今回ソースを最後まで仕上げていますが、鍋で再加熱することを前提にするならばモンテ前の状態でとどめておくのが望ましいです。
これは再加熱によってソースの濃度が変わったり、バターの風味が飛んだりするためです。
なので、モンテ前のゆるめの状態のソースで肉を温め、肉が温まったらお皿に盛り付けて、そのあとソースを仕上げる…という流れですね。

ただこれはオペレーションの都合で難しい場合も多くあると思いますので、あらかじめソースを最後まで仕上げておき、状態の変わりづらい湯煎か電子レンジで温めなおすのが手っ取り早くておすすめです。

おわりに

かなり長くなってしまいましたが、おそらくネット上にこれほど詳しいブフ・ブルギニョンのレシピは無いと思いますので、何かしらの参考になれば幸いです。
ただ冒頭でも触れたとおり、どういった手順がこの料理においての正解なのかは着地点によって大きく変わります。
なので、今回の作り方はあくまでも一例として、ぜひご自身のお好みの味にアレンジしてみてください。

他にも色々フランス料理のレシピを紹介していますので、ご興味がありましたらそちらも合わせてご覧ください。↓

ソースアルビュフェラのレシピと作り方

01/03/2025

ソースショロンのレシピ

15/10/2020

それでは本日もお読みいただきありがとうございました。
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