現役フレンチシェフがTwitterで募集した質問を返していく回【peing】



皆様こんにちは、こんばんは。
大晦日ですが通常運転です、ボンソワール。

さて今日はTwitterで募集した質問に返していくという
タイトルそのまんまの回でございます。

色々な質問をいただいたのですが、
せっかく頂いた質問ですし、真剣に答えていきたいと思いましたので
このブログでしっかりと真面目に返していきます。

質問していただいた方にも、それ以外の人にも
何か役に立つようなお話ができればと思っていますので
是非最後までご覧ください。

では早速始めていきましょう。

目次

質問返し、イクゾー!

質問ありがとうございます!

まずこれに関してですが、私は基本的に生クリームは煮詰めません。

理由はこの質問者様が仰っているように、
水分が蒸発していくと水分と油脂分のバランスが崩れて分離してしまうからです。

ソースを煮詰めたいのであれば、
先に液体をしっかり煮詰めておいて
最後に生クリームを加えてひと煮たちだけさせる
というのが正しい方法かなと思います。

どうしても濃い生クリームが必要なら、
乳脂肪分47パーセントのものを使うか、
クレームドゥーブルを使うかですね。

あとは純粋な生クリームではなく、
植物油脂が入った生クリームなら
多少は分離しにくいです。
(安定しやすいので製菓などでよく使われるもの。)

あ、もし生クリームを絶対に煮詰めたい!
という理由があればまた質問欄から送っていただければたすかります。

その時は私なりにしっかり考えて、
生クリームを煮詰める最善の方法を考えますので。


2つ目です。
質問ありがとうございます。

これに関しては、まず私自身のお話からさせていただきます。

私は新卒で有名イタリアンに入り、
自分で仕事もとれずに雑用ばかりして挙句の果てに
スーシェフと喧嘩して辞めました。

その後、私は厳しいレストランではなく
できるだけ楽に自由に働けるダイニングバーなどで
仕事を続けました。

学校を卒業してから5年間、
私は自分を甘やかしながら料理人をしてきました。

ただ私には同世代の料理人の誰にも負けないと思っていたことがあります。
それは、
私は誰よりもレストランを食べ歩いて、
誰よりも本を読んで、
誰よりも自腹で食材を買い練習し、
誰よりも料理について考え抜いたことです。

そしてこれは自分の生活環境を優先し、
快適に仕事をすることによって
料理を嫌いにならなかったからできたこと
だと思っています。

そしてこの自己流の技術を発揮する場がようやくきます。

26歳の時、フランスの1つ星レストランで働くことになったのです。

ガチのレストランでの経験がほぼ無い私の力が
どこまで通用するか正直不安でした。
周りの人がみんな凄い人に見えました。

しかし、私はわずか5か月でソーシエ(ソース係)
にまで昇りつめ、キュイソン(火入れ)もさせてもらえるほど
シェフに認められ、味付けなどもほぼ任せてもらってました。

そこで私は思いました。
大事なのは、星付きレストランや有名店で働いてきた実績ではなく、
どれだけ料理について考えてきたか
で料理人の力が決まるということを。

長々と自分語り失礼しました。
さて質問にもどりますが、見ての通り私は質問者様よりも
確実に甘い考えで料理人という仕事をしていました。

ただ私は自分の理想の料理があり、それに向かって自己流で努力するのが
たまらなく楽しかったのです。

だから今も第一線で戦えていると思っています。

なので質問者様もまずは自分のやりたいことに向かって進むべきです。
料理が好きだから安定したサラリーマンではなく
この不安定な仕事を選んだのでしょう?

自分の好きなことに全力で打ち込める職場ならば、
極端な話べつにどこでも適当でいいと私は思っています。
星付きであろうがなかろうが関係ないです。
なので自分がした選択を後悔する必要はありません。

あとは自分の意思次第です。

その意思を持つ自信がないならば、有名店に入って
厳しい厨房の中でもまれて半強制的に自分に技術を植え付けるしかありません。

自分に甘える代わりに、好きな事を誰よりも本気でやる。
それができないなら逃げられない環境に自分を置く。

このどちらの道を選んでも成長はできると思います。

あとは質問者様の意思次第、どっちを選ぶかは
質問者様が自分の心と相談して決めてください。

半分以上が自分語りというナルシストな返答でしたが
大丈夫でしたかね?笑

いつも見ていただいている方からの質問ですね。
いつも本当にありがとうございます。

そして更に素敵な料理とほめていただいて嬉しい限りです。

ではせっかくなので、
私の料理の考え方について語らせていただきます。
今日は語ってばかりで叩かれないか心配です。(豆腐メンタル)


料理の考え方

基本的な私の考え方を箇条書きすると、

  • まず人がしっかりと美味しいと思うアミノ酸の量を確保
  • 同じく美味しいと思う油脂量の調節
  • 食材の相性
    (香り成分、栄養面など)
  • 季節のもの、旬のものを1つ以上含ませる
  • 甘み、酸味、食感のバランス

大まかにはこの5つの要素で考えています。

ではひとつずつ解説していきましょう。

人がしっかりと美味しいと思うアミノ酸の量

まずこれは必須ですね。
旨味成分がたりていないとぼんやりとした味になります。
逆に強すぎるとえぐみを感じます。

そしてそれに合わせた塩分量の調節も必須です。

基本的には0.8%を基準にしますが、
アミューズなどボリュームの少ない料理は
味にインパクトをつけるために1%ほどにし、
逆に旨味の強いコンソメジュレなどは0.5%ほどに抑えています。

あとは食材の組み合わせですね。
主食材が旨味の濃い食材なら、抑えるための食材を副食材に選んだり、
逆に主食材の旨味が弱ければ、それを補う食材を副食材に選ぶ、
といった感じです。

人が美味しいと思う油脂の量

油脂も旨味を感じてもらうために無くてはならない存在です。

これも主食材と副食材、またはソース等で総量の調節を行います。

油脂が少ない料理は旨味を感じ辛いので、
しっかりとアミノ酸を溶かし込んだコンソメで補ったり、
逆に油脂がしっかりと多い料理の場合は
瑞々しい付け合わせで脂っぽくならないようにしたりして
バランスをとってやります。

まずはこのアミノ酸の量と油脂の量で
口に含んだ時に、純粋に美味しいと思える状態に持っていきます。
ここからはバランス調整です。

食材の相性

私は料理を考える際、まず3つのパーツを考えます。
それが、

主食材

副食材

繋ぎの食材

の3つです。

上2つはそのまんまで、
繋ぎの食材は、主食材と副食材の両方と相性がよく、
その2つの味をより高めて結び付けてくれる食材の事です。
ソースがその役割を担うことが多いですね。

ロッシーニを例にすると、

主食材=牛フィレ

副食材=フォアグラ

繋ぎの食材=ペリグーソース

って感じです。

繋ぎの食材は、食材同士の共通香や栄養素などから導くことが多く、
一番頭を使うパーツですね。

季節のもの、旬のものを1つ以上含ませる

これはまあそのまんまです。

やはり料理人として季節感は大事にしたいですし、
旬のものは安くておいしいです。

美味しい食材を使うのが美味しい料理を作る一番の近道ですからね。

甘み、酸味、食感のバランス

前の項目で挙げた、
主食材+副食材+繋ぎの食材
で料理はとりあえず完成しますが、
これだけではまだまだ物足りません。

この3つのパーツに無い要素を補ってあげる必要があります。

先程のロッシーニで言うと、
食感が足りないのでポムゴーフレット(網目状のポテトチップス)を足したり、
飽きずに最後まで食べさせるために青味のあるクレソンを添えたりします。

それによって、さらに料理の完成度を上げることができます。

私はその中でも酸味がとても大事だと思っており、
一皿飽きずに食べてもらうには酸味のアクセントがキーとなりますし、
コース中でも酸味をうまく使うと味の重さが気になりづらくなります。

まとめ

以上が大まかな私の料理の構築の仕方です。

その他にも、もともとある料理を再構築したり、
他国の料理をフレンチに落とし込んだり、
色々な視点から料理を考えるようにしています。

こういったインスピレーションは本から得ることが多いですね。

料理人御用達の『シェフ』などの本がおすすめです。

気になる方は是非チェックしてみてください。

長くなりましたが、
料理の考え方はここまで。

次の質問にうつります。


質問ありがとうございます。
このテリーヌ・ド・ショコラは
私の自信作なので注目していただけて嬉しいです。

正直このレシピだけは非公開にするか
ちょっと迷っていましたが、
リクエストしていただけたのなら載せないわけにはいきませんね。笑

こちらのレシピは近日、

『世界一美味しいテリーヌ・ド・ショコラ』

という名前の記事をアップしますので少々お待ちください。

こちらがそのテリーヌ・ド・ショコラですね。
小麦粉を使わないため、くちどけ、舌触りが素晴らしいものとなっています。

私自身これより美味しいテリーヌ・ド・ショコラに出会ったことがありません。

是非ご期待ください。

あ、あとちなみにカヌレも私のスペシャリテなんです。
需要があればそちらも載せようかなと思っています。

終わりに

以上4つの質問に答えさせていただきました。

また面白そうな質問が集まり次第答えていこうと思っていますので
大量の質問お待ちしています。
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